X-38 (航空機)

X-38

NASA X-38

NASA X-38

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X-38アメリカ航空宇宙局(NASA)が開発していた乗員帰還機(CRV)。スケールド・コンポジッツが製造しており、1996年から開発が進められたが、2002年に開発中止となった。

概要

1969年のソビエト-スパイラル-プロジェクト
NASAのB-52母機のパイロンから切り離されるX-38 V-132
エバーグリーン航空博物館に展示されているV-131R

1990年代後半に入り国際宇宙ステーション(ISS)の建設が具体化するにつれ、NASAはその乗員の緊急脱出用機材の開発を検討するようになった。ソユーズ宇宙船の定員は3名であり、ISS乗員全員を乗せることは不可能であった。そのため、7名程度の人員を地球に緊急帰還させる宇宙船としてX-38の開発を行うこととなった。

開発は1996年から開始され、その製造はスケールド・コンポジッツが行なうこととなり、ジョンソン宇宙センターも開発に携わっている。このほか、欧州宇宙機関ドイツ航空宇宙センターも開発に協力した。当初の計画名称はX-35とされていた。

4機が実験機として製造する計画であり、初号機のV-131は80%スケールのモデルで、後期のV-133およびV-201がフルスケール・モデルであった。初号機は1998年3月12日に初飛行を行っている。NASAのNB-52Bから投下され、遷音速飛行を行った。初号機と2号機V-132で4回ずつの大気圏内滑空飛行試験を行ったが、2002年4月29日に予算問題により開発計画が中止された。軌道投下用実験機のV-201は80%まで完成しており、計画続行時はスペースシャトルに搭載して運ばれる予定であった。

なお、本計画の中止により宇宙ステーションからの脱出手段は既存のソユーズ宇宙船によって確保されることになり、滞在宇宙飛行士が6名ならばソユーズ2機を常時ドッキングすることとなった。

機体デザイン

基本形状はリフティングボディであり、機体下面は大気圏再突入用の耐熱パネルとなっている。水平尾翼は有さず、機体後部左右に双垂直尾翼を有する。機体サイズはスペースシャトルの貨物室に収まるものとなっていた。生命維持装置の稼働時間は、バッテリの容量の制約で約9時間であるが、地球帰還に要する時間は2~3時間とされていた。機体は乗員が負傷して動けなくなった場合も考え、完全に自動制御した設計であった。

地球帰還にあたっては、軌道離脱用エンジンの噴射の後、大気圏に再突入し、滑空しつつ高度を下げていく。機体の減速にあたっては、大型のパラフォイルを用いる。これは世界最大の大きさを有するもので面積は687平方メートルもあった。このほか、ドラグシュートも装備し、非常用の乗員脱出パラシュートを搭載する計画であった。着陸脚にはスキッドが採用されていた。

遺産と機体配置

X-38 V-132は現在、NASAからネブラスカ州アッシュランドの戦略的航空宇宙博物館(英語版)に永久貸与されている。

2015年10月、90%完成したX-38 V-201は、テキサス州ヒューストンジョンソン宇宙センターの220号館から移動され、建設用ロープに包まれ49号館の外にある。

2020年1月、X-38 V-131Rは、NASAからオレゴン州マクミンビルのエバーグリーン航空博物館に貸し出されている。

外部リンク

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  • AMERICAN X-VEHICLES An Inventory—X-1 to X-50 NASA資料 2003年
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